昨日のニコ生のベーシック・インカムについての議論を文字起こしした

朝までニコニコ生激論 テーマ​『ベーシック・インカム(キリ​ッ』

たいへん面白かったので、200分ぶっ通しで見ながら所々文字に起こした。かなり要約や補足入ってて全く推敲してないので、不適切だったら指摘ください。→ちょこっとだけ修正しました。(2010/02/22追記)


堀江:今、コンビニや飲食店は中国人・インド人の安い労働力だらけ。彼らに働いてもらいながら、我々がベーシックインカムに移行すればよい。
東:彼らからいわば搾取をして、日本人だけ働かずに暮らせば良いと言っているのか。
堀江:気持ちの持ちようなので、彼らがそれで良いうちはそれで良い。ゆくゆくは、彼らもベーシックインカムを考えるようになるだろう。
東:中国人がベーシックインカムを考えるようになったとして、彼らにとっての中国人はどこにいるのか。
弾:機械だ。今でもやろうと思えば実現できる。
東:ならば、最初から中国人抜きでベーシックインカムをやればいいのではないか。
堀江:これは半分都市伝説かもしれないが、例えばタイでは自動ドアの代わりにドアマンがいる。なぜかといえば、ドアマンより自動ドアのほうがコストが高いから。このように、自動化してしまえば仕事が無くなることが実はたくさんあるのではないか。プログラマとして色々な仕事を自動化していて思うが、無駄な仕事をしている人はかなりいるはず。
城:機械化できない部分として、コンビニ店員などの接客業は残ると思う。
堀江:コンビニ店員はなぜ必要なのか。彼らがあそこにいる意味は何か。野菜の無人販売所のようにすればいい。
城:機械で自動化するのは良いが、結局リソースは必要。資源はどこから持ってくるのかという問題がある。日本で原油が出れば良いが。
弾:資源の問題については、まかない先がすでにある。
堀江:コストの問題だけで、技術の問題である。
弾:アブダビから石油を買った方が安い。
東:堀江さんと弾さんの考えでは、今、全世界で同時にベーシックインカムに移行できるということか。
堀江:そうだ。
東:では、なぜできないのか。
堀江:やろうとしないからだ。やる人が出てこなかったからだ。
鈴木:ニクソン政権でフリードマンがやろうとしたが、世論が反対した。当時のアメリカの保守層は、働くことで競争が生まれて豊かになるという考えだった。
城:日本では、50%の世論の支持は難しいだろう。しっかりした仕事についてローンを組んでいるようなサラリーマンの負担が一番大きくなる。
弾:日本では毎年84兆円が、死んだ人から遺族へ渡っている。少子高齢社会で、これは増えていく。これを配るだけでもベーシックインカムが実現できてしまう。相続税は控除が大きいので、この中から1.5兆円しか取られていない。相続税の金額の算定にもコストがかかる。
堀江:相続税不労所得なので、税率100%で良いと思う。
鈴木:社会相続の考え方は、BIよりも実現可能性が低いと思っている。より実現可能性が低いものを前提として、BIを考えるのは難しいと思う。
堀江:社会相続は、前例が無いので厳しいだろう。
東:日本を代表するブロガーと元経営者の二人がこうして話をしていると、他の人が圧倒されて議論がしづらい。また、ここに存在しない技術を持ち出して、「やろうと思えば出来る」と言われても、反証可能性が無くて議論にならない。別の話をしたい。

〜休憩〜

白田:BIというのは、社会保障などの制度にかかっている膨大なコストを無くすための良い方法だ。社会保障制度では、一人一人の違う人間を様々な方法で評価し、出来もしない計算を非常な大きなコストをかけてやろうとしている。また、学生を見ていると、就職活動にかかるコストが異常だ。雇ってもらうのにあれだけのコストが必要なのはおかしい。企業で働かないと食べていけないと思い込まされ、奴隷のような精神状態になっている。また、憲法で労働が義務づけられているので、無理矢理必要のない労働が作りだされ、働く必要の無い人が働いている。BIを払って経済にお金を流せば、デフレも解消されるのではないか。企業年金も、今、原資が足りなくて企業が頭を悩ませていると思うが、財界がBIを推して企業年金の話をチャラにするという手はアリだと思う。また、古くからの地域の伝統芸能や祭り、文化を支えてきた人たちが、ここ最近、それだけでは生活できなくなり、暴力団などに走るということもあったと思うので、そういったものを回復できる。
濱野:1年に1回全力で祭りをやる人に、それだけに対して給料を払ってあげてもよいのではないか、という話があったが、言い得て妙で、例えばニコニコ動画で長い時間かけて面白いモノを作って投稿するような人というのは、ちょうどそれに当たると思う。僕はサラリーマンだが、日々の楽しみというのは、仕事から帰ってニコニコ動画で一笑いすることなどにあり、「振り込めない詐欺」という言葉があるが、そういうものを作った人に感謝の気持ちでお金を払いたいけどそれが出来ない。
白田:企業化しないとお金を払ってもらえないという現状がある。昔は富豪がそういう人たちをサポートしていたが、いまは富豪がお金を蓄えるだけになっている。
堀江:やっているひとはやっている。宇宙開発など。例えば、ゴルフの好きな金持ちは、プロゴルファーを支えている。
凸1:BIをパチンコに使ったり在日にあげたりすることに文句を言うやつが必ず出てくるが、そういう人たちを許容して、文句を言わないようにしなくてはならない。
東:政府がBIを電子マネーで給付して、使い道をトレースできるようにすればいいのではないかと思う。政府は、BIを国民に与える代わりに、国民からデータを与えてもらう。例えば児童虐待が行われているとき、BIがパチンコに使われているならばそれを確認できる。ライフログはこれから重要になってくる。BIの範囲だけで生活をしていると、何かあったときには政府にプライバシーを介入されるが、そうでない生活をしたい場合には働くというインセンティブが働く。嫌であればBIに手をつけなければよいだけなので、完全に政府から監視される社会になるわけではない。
鈴木:5〜10年スパンでは、給付付き税額控除になるだろう。ある範囲の所得に対して、例えば1000円稼いだら1500円になるように下駄を履かせる制度。これには官僚制の壁と国民世論の壁がある。官僚制の壁を壊すためには、既得権益がある国家1種の官僚に退職金を2〜3億渡し、以後一切の天下りをしないようにしてもらう(ゴールデンパラシュート)。国民世論の壁に対する解決策としては、複数の職業に就くことにインセンティブを与え、複数の利益集団に所属させる。また、国民の他者への想像力と、可能世界への想像力を与える。
城:私は労働の価値を信じているので、中国から国内の仕事を取り戻したい。最低時給を撤廃し、足りない分は国が補助をする。BIだと、例えば月12万円もらえたとして、みんなそれで満足しないはず。昔のソ連と同じようなことになるのではないかと思う。
堀江:ソ連は当時貧しかったからだ。競争は禁じていないので、働きたい人は働けばいい。みんな働いているというが、本当の意味で働いているのかと思っている。
白田:かつては、働かないと富が得られなかったが、今では富を得るために働くという逆転の現象がおきている。

〜休憩〜

堀江:BIの財源は、消費税増税と地方公務員の給料だ。
東:大阪府立大学の小沢教授の試算によると、月5万円の補給は可能。また、ドイツのドラッグチェーンのある経営者による、所得税法人税を消費税に一元化すべきという意見がある。その方がこれからの社会を考える上で合理的とのこと。欧米先進国では既に消費税へ一元化していく流れがある。
堀江:東さんの、電子マネーで政府がライフログを取る話は、かならず抜け道を考えるやつが出てくる。
東:抜け道は、どんな社会でも出てくるので仕方ない。
堀江:抜け道を取り締まるために警察官にお金払うのも、複雑になって嫌だ。もっとシンプルにしたほうがいい。
城:ロボットが出来て自動化されたとして、それで職を失った人は別の仕事を探すだけなのだから、それが人類の歴史から見てもあるべき姿。
堀江:コンビニに機械なんて要らない。むしろ、コンビニが要らない。amazonのように大きな工場から、出荷させればいい。
城:コンビニが要らないというのは極論すぎる。amazonはヘビーユーザーが都心の人ばかりで、都心に住んでいると周りに大きな本屋がたくさんあるから、その分注文が多いだけではないか。
鈴木:コンビニやスーパーの自動化についてはこれまでにも行われたが、いずれも失敗してきている。買い物という経験自体を楽しんでいたり、人とのふれあいを目的にしたりしている人もいる。
白田:BI導入で国力が落ちるというが、国力とはなにか。経済力か、軍事力か。BI導入で経済力が落ちるかもしれないが、それが国力が落ちたことになるのか。BIを導入すると他国から侵略されてしまうのか。
弾:BI導入によって、他者の足を引っ張る必要がなくなるのがよい。ルサンチマンに使う無駄なエネルギーが無くなる。また、他国の人は、日本国籍を取りたいと思うようになる。ビジネスライクに、一定以上の税金を納めれば外国人でも日本国籍が取れるというようにするのはどうか。
白田:BIが導入されたら、我々は日本を守ろうと思うのだろうか。それとも、この国を食いつぶすぞと思うのだろうか。
濱野:Japan as No 1の時代を知ってるおっさんに対しては、日本で制度のイノベーションを行ってもう一度あの時代を取り戻そう、という説得の仕方がある。
凸2:自分でお金の正しい使い道を判断できない人が出てきたり、治安が悪くなる可能性があるのはどうすればいいか。
雨宮:ひったくりなどの社会不安については、BI導入によって、より減る傾向にあるとおもう。
堀江:生活保護だって、もらったお金でパチンコをやる人もいるはず。そこまでくると、そういう人を救う意味はないのではないかとおもう。BIにしても、BIを担保に金を借りるやつがいずれ出てくるだろう。そういうどうしようもない人たちにたいして、現状はどう対応しているのか。
雨宮:支援団体によって対応が違う。救われていないケースが多い。
堀江:そこはあまり話すべき点ではないと思う。BIの実現可能性があると分かってから、議論すればよい。
おたより:BIの議論は不景気が前提となっているが、景気が良くなることを望んでいる国民を否定しているように聞こえる。
弾:景気回復しても、あなたの職が回復されることは保証されない。なぜそうなったかといえば、みんなの目が肥えたから。回復したと思える水準が上がった。
城:ソ連の事例を見ても、BI導入で労働意欲を失う人が大量に出てくるのではないか。
弾:BIが導入されて働かなくなるような人は、そもそも働いてもらう価値がないとおもう。
東:BIとは共産主義的なものだと思っている視聴者もいるかもしれないが、BIは、逆に競争が促進され、格差が広がる制度だ。貧困層の人は、自分の生活が楽になっただけで満足せずに、格差拡大に対してルサンチマンを抱くのではないか。
雨宮:実際に貧困に直面している人は、自分を責める傾向にある人が多く、そういう方向には行かないはず。
弾:女子アナは初音ミクでいい。
鈴木:定額給付金はどれくらいの人が受給したのかという資料を調べたら、横浜市で97.4%というデータがあった。
堀江:定額給付金地域振興券などが、どれくらいコストがかかってどれくらいの効果を生んだかを知りたいが、そのようなことを調べている人はいないのか。
弾:BI導入で、そういう難しいことでも「面白そうだから調べてみよう」という人が出てくるはず。「調べてみた」タグがつく。
東:我々の周りには、そういう利用できるデータがない。新しい病院を作るにしても、国会議員が考えるんじゃなくて、国民から声が上がるべきだが、調べるためのデータが無い。
鈴木:ハンガリーで、インターネット民主党というのを作る動きがある。これは、特定の政策をもたず、とりあえず10議席を取って、完全にインターネット投票で政策決定をすることで直接民主制を実現しようというもの。スウェーデンでは、実際に議席を取っている事例がある。党首は19歳の大学生。
堀江:国でやるのが難しければ、地方首長でやればいい。たとえば、東京都でやればいい。